クラフトレーベル FAT
      アトリエにようこそ!
animation ' object of FAT'
no sound version
by Kouhei Ichiyama
fragment of materials/素材の欠片たち 13  ステンレスのドリル削りかす(リサイクルに出します。)
「この明るさの中へひとつの素朴な琴をおけば秋の美しさに耐えかねて琴は静かに鳴りいだすだろう」八木重吉の詩、「素朴な琴」の全文だ。この短い詩を「見る」度に、僕は気の利いた主人のいる雑貨屋の店先を空想する。素朴な琴というのがまさに雑貨的な響き。そして何より、重吉の詩は大抵短いので「読まず」に「見る」ことができる。僕にとって大好きな雑貨と同じだ。現代では、気の効いた主人は、センスの良いオーナーと呼び、同様に店員はショップスタッフ、売り物はアイテムなんて呼ぶのだろう。時代は代わっても人はモノに色々感情移入をし、時にいとおしく思うものだ。ところで、展示会などでよく作品のコンセプトは?と訊かれる。実は15年の歳月でコンセプトはどうでもよくなった。それは重吉の様に心の底から創作をしたいかも知れない。コンセプトには、思惑がある。駆け出しの頃は大切なことだが、今はそれより手を動かす試作だ。そして同時に詩作。制作中は詩思い浮かべることにしている。先月の26日は詩人八木重吉の命日、茶の花忌。偶然にも僕たちのアトリエは重吉との関わりが深い。重吉の地にアトリエがある。今年も式典のお手伝いをした。昔と同じ秋の空の下で、重吉との時空を越えたそんな関係が嬉しい。そう僕たちはいつも重吉の創作に対する誠実で純粋な姿勢に敬意を払う。少し道に迷うと導いてくれる存在だ。ところで秋の空の下に置いたのは、どんな琴なのだろう。雑貨屋の店先にあったとしたら?どんな国から来たものか…いや、新人の店員さんのコトかも知れない!空想が広がる。
FATのキーワードの1つ「DIY」とは誰もが知っているように、自分で作るということ。今、新作展示会にむけて100個のリングを作っています。初めて挑戦する技術をそのまま商品(作品)として販売して頂けるクシュクシュさんには感謝しています。すばらしい職人さんが作った銀細工と比較すると気が引ける思いですが、楽しんで試行錯誤して作っています。毎年この展示会から後の定番作品が生まれていますので今回の展示も楽しみにしていて下さい。

寺島トオル
新作の指環の一つひとつにインスピレーションで名前をつけました。
SHIBA,BANE,HISHI,NAT,HINODE…
みなさんどのようなイメージを持たれるでしょうか?ぜひ、指環の横に並べてあるネームカードを見てください。
制作過程での嬉しい瞬間は、新しい銀をパッケージから出す時、輪にした銀の先端同士がバーナーで溶かされくっついた瞬間、銀の質量が輝きに変わる磨きあげた瞬間、そしてぴったりの名前が思いついた瞬間です。
岡村ナツコ
FATの助っ人として作ることの大変さを痛感しています。五感を絶えず働かせていないとミスをしてしまいます。それは、FATでは良い作品を丁寧に作ればよいというのではなく、それをムダなつくることが要求されるからです。しかし、だからこそうまく言った時は充実感で一杯です。今ぼくはそのFATスピリッツを広めるために、雑貨が大好きな人たちが毎週渋谷に集まり、仕事帰りに好き勝手に雑貨について話す約1時間ほどの勉強会を始めました。ぜひみなさんも参加して下さい!

福地セージ
DIY/クラフトのページは、この画面をクリックした後にプリントアウトできます。点線でカットすると正方形のクラフトブックになります。
back number